心象スケッチ 1 またね

「 好き 」 の言葉で始まった恋じゃなく
「 さよなら 」 で終わった恋でもなかったね
悲しいとか 苦しいとか 淋しいとか
綯い交ぜになった感情は 行き場を失い
結局 心の奥に押し戻されたんだ
愛を語る程 大人にはなれず
将来への不安ばかり募らせてた
傷つくことを怖れ
傷つけることは罪と
喧嘩さえできなかった二人
苦悩の幕開けとなったあの日
長い長い別れになるって 知ってたけど
「 またね 」 って手を振ることが . . .
あの あどけない仕草が
せめてものプライドだった
春まだ遠い 曇天の下
私鉄沿線 午後
喧騒が遠のいた瞬間
あたしは
人生で たった一度の後悔を認めた
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掲載フォトは【写真素材足成】へ投稿の
工藤隆蔵さまの作品【時計】をお借りしたものです